反復する単純化

NVidiaクラウドに打って出るぜー、
http://blogs.wsj.com/digits/2009/10/20/nvidias-graphics-headed-for-the-cloud/
という記事を読んで、その他最近の動向とかを考えるに、みんな狙ってるところは同じなのかな、とか妄想した。
現状グラフィックスに特化しているけれど、どう見てもNVidiaの狙いはそこじゃない。そもそも画像出力の無いTeslaなんていうGPGPU専用ボード(そもそもグラフィックス向けじゃない "G"PUってなんぞ)を作っている時点でそんなことは明らかな話で、識者の皆様からしてみれば[何を今更]な意見かもしれないけれど、とにかくあらためてその考えを強めた。サーバの世界だけでも、某馬鹿力でなんでも解決してシまう、業界を牛耳る、Tic-Tacな、あの会社とかの世界を本気で転覆させたいんだな、と。
過去、プロセッサを RISC/CISCに分けてパラダイム合戦していた時代があったわけだけれども、あれは結局、どんどん複雑化していくプロセッサの構成を一度バラして単純化して再整理をしてみたらうまくいった!前より整理されたエレガントなものが出来た! ということだと僕は理解している。別にRISCることが直接の高性能化に繋がったのではなく(そういう部分もあるけど)、単純化して見通しがよくなったから、設計が洗練された。
たとえば机の上を片付けよう、としたときに、現状のうまく行っている(と本人が思い込んでいる)配置を壊さないように、なるべくモノを動かさずにビクビクチョコチョコ整理していくのではなく、思い切って一度全部机の上に乗っている物を全て吹っ飛ばしてから、改めて乗せなおす。把握できる程度なら、結果は変わらないか改悪する事だってあるだろうけれど、もはや人間の認識力の限界に挑戦するほどに散らかっている場合、明らかに吹き飛ばしたほうがうまくいく*1
既にRISCで育まれた技術*2と融合してしまったCISCであるx86系プロセッサ。RISCとは名ばかりの超高密度・超複雑になってしまった準RISCの数々。そういったものに対して、今回の単純化の反復は、もともとが機能・用途が限定されていたグラフィックスと言う分野のアクセラレータから出てきた。高性能化の要求に曝されて、必要以上に技術が高まってしまった結果、この単純のスープから新しいパラダイムが生まれてきているのだ。まさに歴史が繰り返しているわけで、その考えどおりだとしたら本当にエキサイティングだ。
IntelのLarabeeがちょうど正反対方向からのアプローチなんだろうけれども、果たしてどちらが勝つのだろうか。単純から複雑に向かっているGPU。複雑から単純に行くLarabee。
ほんと、楽しみではある。非当事者として、非常に無責任ながら :P

*1:ついつい「見なかったことにしよう」スポットができてしまうのですよね。・・・って僕だけ???

*2:それ自体も大型計算機からのスケーリング転用が多いのですが